2016/08/08

人材紹介会社の新卒市場参入で過熱する「学生争奪戦」

2年続いた就活日程見直しで「採用現場」は混乱したものの、来年春の採用を目指した今年の就活は6月から選考が始まり、大手企業を中心に一段落した。内定率も順調に推移している。企業の人材採用を研究する「採用学」を提唱し、同名の書籍を今年5月に出版した横浜国立大学大学院の服部泰宏准教授に、採用の最前線で起きている変化について聞いた。4回に分けて報告する。【田中学】

「採用学」服部泰宏さんインタビュー(1)

 ──今年の企業の採用動向をどう見ましたか。

 ◆服部さん 昨年は、採用日程繰り下げで就活生も企業も苦労したようですが、今年は企業が引き続き苦労したのに対し、就活生はうまく適応したように見えます。売り手市場でもあり、学生は1年上の先輩から昨年の就活の話を十分聞いて対策を練り、賢く動きました。

 ──売り手市場なのに、1人あたりのエントリー数が減ったというデータがあるそうですが。

 ◆今年は採用日程が昨年より2カ月早まり、6月1日スタートでしたが、売り手市場だったことから、学生は「数打つ」作戦よりも、挑戦したい会社を厳選してエントリーしました。これは、企業側から見ると、昨年と同じ対策では応募者が集まらない、という結果を招きます。実際、頭を抱えた企業は多かったようです。

 学生にとっては、全体的に「ハッピー」とは言わないまでも、昨年よりはましだった、という状況です。

就活サイトだけを使う企業が学生集めに苦戦

 −−就活生はうまく適応したのに、企業側はなぜ苦労したのでしょうか。

 ◆何もせずとも応募者が集まる超有名企業は別ですが、大企業を中心に学生の動きへの対応が後手になったところが多い。特に、これまでの一般的な採用手法を踏襲してきた企業です。一般的な手法とは、就活サイトを使って募集、説明会を行い、テストや面接を複数回経て内定を出すやり方ですね。学生が就活サイト以外のルートも使い始めています。

 企業もこの動きに気づいていないわけではないでしょうが、対応しなければ、一般的な就活サイトを使う学生しか集められないことになるのです。