2016/09/01

面接なし、プレゼンのみで選考 トレンドマイクロが新型採用

情報セキュリティー大手のトレンドマイクロは2017年春入社の新卒採用で、面接をせずにプレゼンテーションだけで選考する枠を設けた。目的は常識にとらわれない「ワイルドな人材」を採るため。初年度は対外的な認知が不足したとみられ、目標の採用人数に達しなかった。

 プレゼン選考は3~5月、東京都渋谷区にあるトレンドマイクロ本社の会議室で3回に分けて開かれた。

 ある男子大学生はスクリーンに映った資料を示しながら10人の社員に熱弁を振るった。「自分は文系の学生で技術的な知識は乏しい。しかし、ぜひ御社で技術者集団をまとめる立場になりたい」

 プレゼン選考は人事総務本部のシニアスペシャリスト、新井谷千紘氏が発案した。どんなテーマを選ぶかは学生の自由。選考方法を見直すことで、個性的で意欲的な学生が集められるのではないかと考えたためだ。従来の一般選考ではグループディスカッションと複数回の面接、ウェブを使ったテストで絞ってきた。

 本部長の成田均執行役員は新井氏の提案に賛同した。「最近の新人は賢いし、仕事をきっちりこなすが、与えられた業務を越えて行動できる人が少ない。ワイルドな人材をあまり採用してこなかった」と感じていたからだ。

 「ワイルドな人材」は常識にとらわれない発想で仕事をする人物を呼ぶ時に社内でよく使う言葉だ。上司に反対されても、社内の味方を増やして最終的に目的を達成するようなチャレンジ精神あふれる新人を求めていた。

 プレゼンを聞く採用担当者は、120人の管理職から性格診断テストで「好奇心」「チャレンジ精神」「バイタリティー」などの項目の得点が高く、「ワイルドな人材に該当する」との結果が出た20人だ。20分間のプレゼンと10分間の質疑応答を通じて、自分と同じ感覚を持つ学生を見つけ出す。

 ワイルドな人材ばかりになっては組織がまとまらないとの判断から、従来方式の一般選考も並行した。一般選考で求めるのは社内で「バランス型」と呼ぶ人材だ。周囲と協調しながら計画的に問題を解決できる学生を求め、面接官にもバランス型の管理職を充てた。

 今年度は一般選考で15人、プレゼン選考で5人の獲得を目指した。プレゼン選考に応募した学生は40人おり、最終的に男女2人ずつ、計4人に内定を出した。そのうち2人は辞退し、男女1人ずつから承諾を得たが、目標とした5人には届かなかった。

 求めているような人材が今の学生に少ないわけではなく、同社はプレゼンのみの選考を取り入れることが広く伝わっていなかったことが原因と見ている。採用ページに載せる程度で、プレゼンのみの選考をする意味などはとりたてて発信はしなかった。

 プレゼンがうまくまとまっていても採用担当者が思わず笑ってしまうような破天荒さを感じるか、引き込まれるような話し方をしていたかが合否の分かれ目となった。成田氏は「求める学生が豊富と思われるサークルや運動部に告知して、目標の採用人数を達成したい」と、来年度も続ける方針だ。