2016/12/13

IT人材の採用、安全第一はむしろリスクに(上)

皿洗い、自転車便の配達員、俳優、ウエーターなど、ITと無関係の仕事をしていた人が、趣味レベルのコーディングの技能を生かして、ホットなプログラマーの職に就き、ついには大物開発者として名を馳せる──アメリカンドリームの舞台をシリコンバレーに置くとすれば、そのような話になるだろう。

実際、CEO(最高経営責任者)やベンチャーキャピタリスト、スタートアップ企業の創業者、プログラマー自身に至るまで、テクノロジー業界の誰に尋ねても、学歴、性別、人種、民族など、採用候補者のバックグラウンドは気にしないと答える人がほとんどのはずだ。肝心なのは、本人のテクノロジーの技能と、職務の遂行能力があるかどうかである。本当にそのとおりだとしたら、実に素晴らしい話だ。

しかし現実を見ると、これは夢物語にすぎない。人事部門の担当者、採用担当幹部、リクルーターなど、採用活動で最前線に立つ人は、こうしたバックグラウンドを実際には気にしており、そのことが、候補者にも企業にも不利益をもたらしている。そう話すのは、テクノロジー人材の採用プラットフォームを手がける米Triplebyteの共同創業者でCEOのHarj Tagga氏だ。
「同じような話はほとんどの人から聞かれる。私としては実に興味深い。なぜなら、テクノロジー業界といえども、人事部門や採用担当部門は、リスク回避の傾向が極めて強いからだ。人材の発見、募集、選別、採用には、多額の費用がかかる。会社側としては、適任の人材を獲得して、投入した時間とエネルギーに対するROIを高めたいと考える」