就活生の3.5万人は当事者?~時代の華・LGBT採用戦略について~

こんにちは。新卒WATCH編集部インターン、上智大学20卒のヒナです。

採用選考売り手市場の中、採用戦略に新たな一手を打ちたい人事の方も多いのではないでしょうか? 今日はそんな人事採用担当者の皆様に、就活市場におけるユニークな逸材となりうる方々を紹介していこうと思います。

皆さんは、今年のGWも行われた「東京レインボープライド」というイベントをご存知でしょうか?
これは、近年耳にすることの多くなったLGBTの方々が「より自分らしく、各個人が幸せを追求していくことができる社会の実現」を目指すイベントの総称です。

キャプチャ
(参照:http://tokyorainbowpride.com/about-trp2017-http://tokyorainbowpride.com/

本記事では、そんな時代の華であるLGBTの採用戦略について、当事者の方と対談しつつ述べていこうと思います!

「うち大企業じゃないからそういった人の採用の体制整えられない…」
「知識ある人いないし、どういった人たちなのかもよく分からない…」
そういったことを思う方も多いかもしれませんが、それは全くの誤解です!

LGBTの方々の多くは、自身と真剣に向き合ってくれる姿勢を求めています。
しかし現状として、まだまだそうした人々を受け容れてくれない風土の企業が多いのです。

だからこそ、ダイバーシティ(多様性)に理解のある人事採用担当者がいる企業には、他とは違う特別な魅力を感じるのではないでしょうか。貴重な人材を惹きつけるためにもぜひ当事者の意見を聞いてみてください!

LGBTについて

323d9b28f33ce14427d025eacf348143_s
今回は、2018卒として就職活動を行った、トランスジェンダーのSさんを取材させて頂きました。

——Sさん、本日はいちLGBTの当事者の方として、他の人の声も代弁しつつ就活についてお話してもらえたらと思います

Sさん:了解です。こちらこそよろしくお願いします

——はい。ではまず、LGBTの基礎知識について軽く触れてみようと思います。SさんはLGBTのうちのT(=トランスジェンダー)なんですよね?

S:はい。そうです。私は、身体は男性ですが、自分自身の性別の自認(=性自認)は女性なんです。ちなみに説明すると、LGBTのうち、L(=レズビアン)、G(=ゲイ)、B(=バイセクシュアル)は恋愛の対象の性(=性的嗜好)が同性であることを指します。で、T(=トランスジェンダー)は身体と精神の性が異なることを指すんです。

——なるほど!説明ありがとうございます。最近では性自認と性的嗜好が多様化してきたということでSOGIという総称を使うんですよね

S:はい。性自認が男女だけでなく、X(≒中性、ノンセク)という人もいたり、LGBTだけで収まらないことが増えてきたからですね。正直当事者の中でもこんががっている人が多いんじゃないかな

——なるほど!まさにLGBT(SOGI)の当事者の方でも色々模索しているんですね

LGBTの人の強さと魅力に迫る

4015b5519a0b8bb759b0903e94610915_m
——では次に、当事者の人が思うLGBTの強みや魅力について聞かせてください

S:はい。私は大きく分けて2つあると思っています。まず1つ目は「自己分析が徹底していて、強い信念を持っていること」です。LGBTの人たちは、自分の「性」について何かしろの違和感を持って育ちます。その中で「自分って一体何だろう?」って本当にたくさん悩んで、深く考えるんです。それで、その一環で自分の性格や能力についても徹底して分析するんです。

——ちなみに、Sさんの場合はどう分析しましたか?

S:私の場合、性格や能力について考えたときに、自分は何か好きなものを極めることが得意で、その為にコツコツ努力できるタイプだってことに気付きました。で、自分は地理学が大好きなので、地理学にまつわるビジネスに関わりたいって思っています。それと自分はITに強くて、PCをいじることも得意なので、社会の中でその2つを極めるために、地理学やITを活かせる会社や職種を探しているところです。

——自分のセクシュアリティに向き合う中で、自己分析を徹底している方が多いんですね。就活とかする時、きちんと自己分析できている人ってすごい大切ですよね

S:はい。そこが強みの1つかな、って思っています。で、2つ目の強みは「他者のことを深く理解できること」ですね。これは自分たちは性的マイノリティだから、どうしても「マジョリティ」について考えることが多いのが理由です。例えば、差別を受けるマイノリティ側の気持ちは痛いほど分かるし、逆にマジョリティの人がどうして偏見を持つんだろうって考えたりするんですよね。そういった経験を積んでいるから、例えば企業で取引先と対談するとき「この人は△△な背景があるから、今こういう考えをしてて、こういう発言をするんだな」といった人のバックグラウンドを考えられる力が強い人が多いって思います

——セクシュアリティにおけるマイノリティやマジョリティについて考える経験を経て、相手の発言の意図や背景を汲み取るのが上手な方が多いんでしょうか。それもまた、就活する時にすごい役立ちますよね。営業とか企画とか、あらゆる分野で活かせそう。

S:そうなんです。だから、自己や他者に深く向き合えるLGBTの人たちの強さを、もっと企業の人に知ってほしいなって思います

就活におけるLGBTの悩み

gahag-0028553297-1

就活システムは、「ジェンダー」が徹底してしまってる

——ではそんなLGBTの当事者が、就活においてここに悩んでいる、或いはここに配慮してくれる企業に魅力を感じるということについて教えてください

S:はい。まず一番の悩みとしては、就活の色々なシステム自体がジェンダーをベースにしていることですね。例えば、リクルートスーツとかって男女別でハッキリ違うじゃないですか。自分みたいなトランスジェンダーの人だと、身体は男性だから男物を着なきゃいけないけど、それって「自分は社会の中で男性として働く」ってことを主張しなきゃいけない気がして、気が引けてしまうことがあるんです

——なるほど!当事者の人でなければ、全く意識しないところですよね。それを理解してもらえないと、確かに辛いところはありそうです

S:そうなんです。他にも、ジェンダークリニックってところに行って自分はトランスジェンダーであることの診断書を貰わないと、採用の際に信頼してもらえないっていうのも辛いところだなって思います

——LGBT、特にトランスジェンダーって、病院で診断書を貰わないといけないんですか?それは知らなかったです

S:はい。なんだか病気みたいだな、って思っていきたくない人もいると思うし、性について証明書がないと受け容れてもらえないっていうのは応えるなあと感じます

——なるほど。徐々に話題になっているLGBTとはいえ、まだまだ根深いシステムのところで当事者の人たちが悩んでいることがあるんですね

一番欲しいのは、「一人の人間」として向き合ってくれること

——そしたら、具体的にこういう配慮があると分かると魅力を感じる、というのはありますか?

S:そうですね。LGBTについての基礎知識を勉強してもらったり、性別を問わないトイレを開設してくれる会社さんもあるようなのですが、自分は一番欲しいって思う配慮は「一人の人間として自分を受け容れてくれる姿勢」ですね。人によって性自認・性的嗜好の形が様々で、正直「トランスジェンダーだから〇〇」と言い切れないなって思っています。だから、表面的な知識よりも、選考の際や面談を通して、その人自身と対話して向き合うことを積極的にしてほしいって思います

——その人個人と積極的に話して、欲しいサポートとかを聞いていくスタイルが大切ということですね。それだと当事者でない人とも変わらないし、一人の人間として見るってことに繋がりますよね

S:はい。後、これは自分自身の考えですが、LGBT当事者も自分たちからこういう支援がほしい!とどんどん主張していく必要があると思います。その中で、こういう支援があると嬉しい、と言いやすい風土があると尚の事魅力を感じますね。
それと、LGBT当事者は自分たちと向き合ってくれる環境をすごく大切にしています。会社というのは、自分が長い時間を過ごす空間ですしね。企業の規模や仕事内容も大切なのですが、そうした向き合ってくれる環境が正直一番重要だと思ってます

終わりに

取材の当初、LGBT採用に関して必要なことは「専門的な知識や、それに基づく配慮」だと思っていました。
けれど取材していく内に、当事者の人々が必要としていることは「その人自身を見つめ、受け容れてもらうこと」だと気づきました。言い換えれば、表面的な知識よりも、一人の人間として触れることが大切だということです。
LGBT当事者の方々の声を聞いて、LGBT採用へ一歩踏み出す企業さんが増えてほしい!と強く思います。

この記事を書いた人:ヒナ

上智大学にて哲学を専攻。2回生。大学1年次よりITベンチャーで経験を積んだ後に、新卒WATCHのライターに。自身のインターン経験や大学生独自の目線を元に、皆さんに役立てる記事を書けるよう日々奮闘中です。