和製インターンはガラパゴス!? 日米インターン比較で世界標準を知る【日米インターン比較特集 第1回】

こんにちは!インターンのマリナです。

新卒採用の後ろ倒しや売り手市場が続く中、インターンシップが注目を集めています。HR総研の調査によると、「2018年卒採用でより重要になる施策」として、インターンは2位に急浮上しています。
最近では1日だけの「ワンデイ・インターン」が増えている一方で、採用に直結したインターンの解禁も検討されていました。しかし先日行われた有識者会議では、この解禁は実現しない方向が示されています。
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まだまだ発展途上で、その動向も揺れている日本のインターン。新卒採用で取り入れていくためには、どのような向き合い方をすればよいのでしょうか。
今回の記事では、インターンに長い歴史を持つ欧米、特にアメリカを取り上げて、その事情を比べてみました。また、実際にアメリカで実施されているプログラムやノウハウのヒントも、併せてご紹介します。
すでに取り組まれている企業の方も、これから導入をお考えの方にも、参考にして頂ければと思います。

ではさっそく、日本とアメリカにおけるインターンの背景、そしてその実状の違いを、それぞれの国の調査記事から探ります。

海外インターンは「採用」、日本は「社会勉強」

欧米では100年以上の歴史があるインターンですが、「採用」が第一の目的であることが、日本との様々な違いをもたらしています。

今回取り上げたアメリカのデータは、リクルートワークス研究所がCareerXroads社の協力を得て実施した『2015 Internships USA』から引用しました。日本のデータは、文部科学省が今年2月に発表したインターンシップ推進のための調査概要を用いています。
それではまず、社会の中でインターンがどのように捉えられているのか、という点から、見比べていきたいと思います。

日本では採用との結びつきは薄い

日本のような新卒市場が存在しない欧米では、学生にも中途にひけをとらない経験が求められます。そのため、インターンは学生・企業双方にとって、就職活動の大前提として認識されています。
学生は「経験」を身に付ける、もしくはその企業に就職することを目的にインターンに応募します。企業側はより即戦力となる人材を得るべく、公募の他、ターゲット学生に直接アプローチしてインターン生を集めています。
また、「就業体験の提供」という観点では、産学の連携による多様なプログラムが用意されています。アメリカにおけるCo-opプログラムはそのひとつで、学業や研究を仕事と結び付けられるよう、緻密な内容が組まれたものです。

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アメリカ実施目的2

一方、日本でインターンが知られ始めたのは1997年頃から。「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」として広く捉えられ、はっきりとした定義づけはされていません。また、「学生の成長を促し、社会で活躍できる人材の育成」という社会貢献が目的であり、採用とは区別されるべきであると公言されています。

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下のグラフは、企業・学生・大学それぞれに対し、インターンに期待する内容を聞いた結果です。青色が学生、オレンジ色が企業、グレーが大学の回答を示しています。全体的にキャリア学習や業界・企業研究への期待が高く、内定の取得など採用と結び付ける意向は低いことが分かります。

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「試用期間」としてじっくり人材を見極めるアメリカのインターン

「採用」が第一目的であるアメリカでは、インターンの実施期間は6~12週間が最も多く、その内容も採用後に任せたいタスクを与える実践的なものがほとんど。また、インターン生の選考やターゲット学生の絞り込みもあらかじめ行われています。したがって、優秀な学生のパフォーマンスを時間をかけて見極める、テストランとしてのプログラムとなっています。

アメリカ業務配分2

未来の正社員として期待をかける分、学生に充分な給与を支払ったり、有給休暇を設けるなど、社員と同じような対応がなされています。
特に給与については近年、不当な無給インターンへの訴訟が相次ぎ、問題となりました。そのため現在は有償インターンが主流であり、給与の高さは学生を惹きつけるポイントとされるようになりました。

このように、採用を視野に入れたリアリティのある経験を提供することで、学生の内定オファー承諾率も高くなります。下のグラフによると、承諾率が51%を超えると回答した企業が8割を超えています。また、インターンを通じて入社した学生は、定着率も比較的高いことが分かっています。

アメリカオファー承諾割合

次に、日本でのインターン実施状況を見てみましょう。実施期間は「1日のみ」が44.8%と最も多く、文部科学省の勧める「5日間以上」がそれに続いています。「1ヶ月以上」の長期間はわずか2.8%となっています。

日本実施期間

内容は「業務経験型」が5割弱を占め、「ワークショップ・プロジェクト型」も31.8%となっています。基幹業務や、実際の仕事とは異なる課題を与える形式が主流のようです。
日本ではとくに1dayインターンが「早めの会社説明会」化していることが指摘され、課題解決型のプログラムはその対応として登場しました。

給与に関しては交通費の負担は見られるものの、基本的に無給で行なっている企業がほとんどです。

正社員への登用率は、ここではインターン先への就職傾向を比較として取り上げます。
半数ほどがインターン先への就職活動を意向しているものの、実際に内定を得て入社した学生は10.4%に留まっていることが分かります。

日本インターン先への就職意向1

日本インターン先への就職意向2

また企業側も、採用選考上の取り扱いを一切行なっていないと回答した企業が52.4%と最多。インターンのみで内定を出した企業は0.0%となっています。

日本採用選考上の取り扱い

「新卒一括採用」システムが足かせ?企業も手探りの現状

日本のインターンは原則として採用と無関係であることが定められていますが、背景には新卒採用のスケジュールが乱されることへの懸念があります。ここ数年は採用スケジュールが短縮化されていることもあり、学生にとっても一社のインターンに長い時間をかけにくい状態となっています。
また、実施において企業側が挙げる課題は「社内調整」「場所・人員の確保」の難しさがトップ。採用に直接結び付けられない以上、社内全体を巻き込んでのプログラム作りが進めにくいことは仕方のないことかもしれません。

とはいえ、1dayインターンは特に冬季に開催する企業が増えており、比較的長い期間をかけての「課題解決型プログラム」には、中小企業やベンチャーが熱心です。
早いうちから学生を惹きつける「広報活動」としての意味合いが、強くなってきているように思われます。

「インターン」の再定義が進む日本、企業も認識の改善が求められる

記事の始めに、文部科学省が採用直結型のインターンは解禁しない向きであることを述べました。
この見解が示された有識者会議では、5日間以上のプログラムを「単位型インターン」とし、大学での単位化につなげる動きが進められました。また、就業経験を伴わない、いわゆる「説明会」としてのプログラムに対しては、インターンシップの名称を使わせないようにするとも明言されています。

自社の魅力を伝えるという観点で言えば、インターンが広報活動の効果も持っていることは間違いありません。
しかし、1dayインターンの横行が問題視されている現状を鑑みると、今後は大学との連携も視野に入れた、より具体性のあるプログラムを作っていく必要がありそうです。

次回の記事では、アメリカで実際に行われているインターンプログラムの事例をご紹介します。

この記事を書いた人:マリナ

マリナ

都内大学で政治学を専攻しながら、新卒WATCHインターンに参加。 よい情報を選ぶ目と、わかりやすくお伝えする力を養えるよう、日々勉強中です。美味しいものが好きな万年ダイエッター。