社長が説明会を毎週2回!?「ホンネ採用」戦略の中身 【NENGO社インタビュー1】

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激しい人材獲得競争が続く新卒採用。とくに売り手市場化の進む中小企業では、集客だけでなく内定者の確保も深刻な課題となっています。
そんな中、自社にマッチさせた手作りの採用活動に取り組む企業がありました。

建築・不動産事業を展開し、街つくりに取り組む株式会社NENGO。不動産販売等にとどまらず、地域再生など多彩なプロジェクトを手掛け、業界の枠を超えて「100年後の街つくり」を目指している企業です。その土地の文化や住居者のライフスタイルなど、「らしさ」を読み込んだデザインを得意としている同社では、人材採用でも人の「らしさ」と向き合う姿勢を徹底しているとのこと。
企業と応募者とがお互いに選び合う”NENGO流採用”の中身、そして人材に対する想いとは。代表取締役社長・的場敏行さん、人事担当・三ツ橋典子さんにお話を聞きました。

「正直」すぎる説明会?企業の軸=理念への共感を求めた、マッチング重視の採用

溝の口駅から約7分、江戸時代からの歴史ある街道を歩くと見えてくるNENGO本社。12月某日、新卒・中途を合わせた10名ほどの参加者がここに集まりました。
会場の後ろは、社員が勤務しているオフィススペース。社内に常設されたプレゼンスペースで代表取締役の的場社長が登場し、説明会が始まりました。
その内容は、独自の価値観や求められるハードルの高さもはっきりと伝える、かなり率直なもの。さらに話題は”自社の説明”の枠を超え、業界のぶっちゃけ話にも及びます。

同社ではこうした説明会を週2回、継続して開催。毎回必ず的場社長が登壇し、説明会後には新卒向けの座談会も行われています。
このことだけでも、採用に対する相当な力の入れ様が伺えます。

毎週2回かならず説明会に立つ的場社長

毎週2回かならず説明会に立つ的場社長

NENGOの掲げる企業理念は、『企業活動を通じて世のため人のために貢献する』、『目の前の人をいつも幸せにしよう』。
ホテル業界出身である的場社長の経験から生まれたこの理念は、同社の企業活動のみならず、組織文化の基盤となっています。
したがって人材採用においても、理念に対する共感が最も重要な採用基準に置かれています。

心からの共感を得るには、まずは自社を深く理解し好きになってもらうこと、その上での相互的なマッチングが不可欠。
そのために徹底していることのひとつが、率直な情報開示です。

ネガティブふくめた情報開示でミスマッチを削減

裏表のない情報提供は、入り口である説明会から始まります。
冒頭でご紹介した「正直すぎる」説明会は、参加者が自らマッチングを図る場として機能しています。説明会だけ参加して選考前に離脱する応募者の率も少ないそうですが、的場社長らはそれも承知のうえでやっているとのこと。

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——的場:素直に喋ることには、やっぱりリスクもあって。業界やNENGO社を嫌いになる人もいると思うんですけど、そこをはっきりさせることが重要だと考えています。実際、ミスマッチが本当に減ったんです。

選考に進んでからも、採用担当の三ツ橋さんとの面談、また最終面接の前に開催される1dayインターンを通じて、より現実的な仕事と環境の理解を深めて行く設計になっています。
「街つくり」という言葉のポジティブイメージゆえに、過去には入社後のギャップによる早期離職が生じていたという同社。この失敗経験が、採用プロセスの情報開示としての側面を強めるきっかけとなったそうです。
学生に対しては、企業人としてのシビアな利益目標や、辛い部類の業務があることについても、細かく伝えていました。

お互いに後悔しないための「ホンネ採用」

オープンな情報開示は、採用市場における近年のトピックです。代表的な研究『RJP理論(Realistic Job Preview)』は、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
この理論に基づく採用は、人材の確保よりも定着を目的としています。
NENGOの取り組みにはまさに、RJP理論のノウハウと効果が体現されています。

さらに同社では、応募者側にも自分のことを隠し立てせず話してもらうように努めているそうです。選考を企業側の一方的なジャッジではなく、お互いが率直な意見をぶつけ合う場とすることで、双方の納得を引き出したい意図があると言います。

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——三ツ橋:入社してから、こんな会社入りたくなかったと思われたくない。同様にこちらも、こんな人採りたくなかったと思いたくない。だから入社前にお互い、とことん話し合います。

「直に会うこと」と「一貫性」が、採用をスムーズにする

NENGOでは、的場社長を筆頭に社を挙げて採用活動に取り組んでいます。企業と候補者11で向き合う状況をなるべく早くから作ることで、マッチングの精度だけでなく、全体的な効率が上がったというのがその理由。

説明会を選考プロセスのひとつに

例えば同社では、説明会の段階から社長が直接採用に携わっています。
少人数の説明会をたくさん行う現在の形式は、2017年10月にスタートしたもの。以前は大手ナビサイトへの掲載、Facebookへの広告出稿も行なっていました。しかし、なかなか集客効果が現れず、自社には向いていないと判断。
もっと気軽に来てもらうシチュエーションを作ろうと、実施に踏み切りました。

説明会で話をする的場社長。特に学生に対して、企業トップが前に出ることのアピール効果は抜群です。

説明会で話をする的場社長。特に学生に対して、企業トップが前に出ることのアピール効果は抜群です。

一見、時間・手間の負担が大きいように思えるこのスタイルによって、採用のスピード感はむしろ向上。
少人数での説明会だからこそ参加者ひとりひとりの顔や印象をしっかりと把握でき、最終面接を行う的場社長もこの場に立ち会うことで、面接での「はじめまして」の手間を抑えて進められるためです。

更にはこの時点で、「この応募者は良さそうだな」という判断までできてしまうのだと言います。

——的場:その場で大体分かりますよ。それに応募者の方というのは、最初が一番「素」なんです。で、選考の過程でどんどんかっこつけてしまう。だから今は、説明会当日に座談会もやっているんです。

言わばファーストミートの時点で、1度面接を済ませているようなもの。人事と面接官である社長との間での、細かい情報伝達やすり合わせを、最小限に減らすことができたといいます。

ことばの一貫性が与える、全方位への信頼

NENGOでは、自社の行動指針がほぼそのまま採用基準に適用されています。そのため社員にも、説明会に参加するよう促しています。
つまり、日頃社員に対して投げかけているメッセージと、応募者へのメッセージが裏表なく同じということです。
同社では報酬制度『助in』や社内チームを設けて、リファラル採用も実施しています。言葉の一貫性は、こうした活動への参与もスムーズにしています。
※助in(じょいん)…紹介による入社に対して、紹介した社員に30万円を贈呈する社内制度。内外で態度を変えない姿勢は、NENGOの社風。そのためNENGO社のブログFacebookの投稿内容を読んでも、読み手は一貫した印象を得られるといいます。
こうした言葉の一貫性は、候補者に信頼感と、「ホンネを言っている」安心を与えていると感じました。

採用はお見合い、入社は結婚

的場社長、三ツ橋さんの話には、採用を結婚になぞらえた言葉が度々登場します。人事向けセミナーなどでもよく用いられる例えですが、いまいちピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
NENGOの採用スタイルは、この概念をプロセスに落とし込み、具体化したものとなっています。

例えば、まずは自分を好きになってもらうことから始まる、という点。
NENGOでは採用の各場面を、まずは自社を好きになってもらうためのアピールの場と捉えて設計しています。説明会もインターンも、魅力付けによって候補者の入社意欲を引き上げることが大きな目的です。

——三ツ橋:たとえ他社に内定を貰ったとしても、絶対にNENGOに入りたい!という所まで引き上げます。

また、結婚=入社がゴールではないという点も、皮肉なことに人生と似ています。
重要なのは入籍(内定)ではなく、そこから続いていく生活。なのでNENGOではまず、結婚生活の真ん中に「理念」を据えています。その上でお互いのことを隠さず伝え合い、納得ずくで生活を始められる体制を整えているのです。

〈お互いに好きになって、選び合った者同士が結婚すればいい。〉
的場社長によると、同社の採用姿勢をシンプルに表現すると、究極はこうなるそうです。

企業も採用も、常に変化していく

かつてイメージギャップによる離職・内定辞退が課題となっていたNENGOですが、こうした取り組みの結果改善された。慎重なマッチングと充分な魅力付けは定着率にも寄与しており、新卒社員の2年離職率は、近年では0%をキープ。急成長期の企業としても相当低い数字です。

それでもまだ、三ツ橋さんは的場社長と採用について常にアイディアを出し合い、施策の見直しを行なっています。

——三ツ橋:現在のスタイルは決してベストではないし、採用はこれからも変えていく。常にベターを模索していきます。

中小規模だからできる、手間の掛け方・時間の使い方

“NENGO流採用”には、中小企業のヒントとなるポイントが豊富に含まれています。なかでも注目したいのが、「時間」と「手間」の使い方です。

日本の新卒採用には伝統的に、大きな流れとしての採用フローが存在しています。そのせいもあって、段階ごとに刻んだスパンで目標設定が行われがち。しかし大きなスパンで考えれば、学生が入社するまでには約1年もの猶予があることになります。NENGOではこの期間を有効に活かし、相思相愛で入社を迎えることに照準を合わせています。

また中小企業は、掛けられる予算・人員も知名度も、大企業に比べると小規模です。この状況は逆に、ふるい落としの必要がなく、候補者ひとりひとりと向き合う余地を生んでいると言えます。
説明会ですべての参加者を把握する、1対1の対話を徹底する…というNENGOのスタイルは、大規模な採用では難しくなります。候補者を自ら口説くダイレクト・リクルーティングは、中小企業こそ導入しやすい方法ではないでしょうか。

後編では、同社が採用に力を入れる理由、そして新卒人材への想いをご紹介します。

この記事を書いた人:マリナ

マリナ

都内大学で政治学を専攻しながら、新卒WATCHインターンに参加。 よい情報を選ぶ目と、わかりやすくお伝えする力を養えるよう、日々勉強中です。美味しいものが好きな万年ダイエッター。


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